efficient frontier with short selling will be examined using Excel
マーコヴィツ(Markowitz)の平均分散アプローチに従って、空売りも許容される場合の、 2銘柄の株式から構成されるポートフォリオの収益率と分散について、銘柄間の相関係数によってどのような変化をするのかグラフで検討してみる。エクセルによる散布図(xyグラフ)の単調な作図練習みたいになるが、作図の過程で意外な発見(気づき)もあると思う。
通常の手順から行けば、2銘柄を選択したら例えば過去60ヶ月くらいの株価推移や配当実績から平均収益率や分散共分散を計算し、2銘柄ポートフォリオ全体の収益率と分散を計算し、次いで相関係数も計算することになると思うが、ここでは仮想の2銘柄AとBを使い、AとBの収益率の相関係数が-1から+1までの変化があった場合のポートフォリオの収益率と分散の組合せを調べることにする。
ポートフォリオは2銘柄に限らず、50,225などと多数の銘柄から構成されるのが通常なので、2銘柄についても行列形式で理解しておけば容易にN銘柄の場合にも応用できるので、あえて行列で表示している。
上記のように表記すると、相関行列と分散共分散行列は以下のように表せる。(converting a correlation matrix to a covariance matrix)
標準偏差からなる対角行列 × 相関行列 × 標準偏差からなる対角行列
= 分散共分散行列 となる。この関係式を使えば2銘柄の標準偏差と相関係数を任意に指定すれば、それに対応する分散共分散行列が計算できる。
銘柄AとBの投資比率は合計で1に等しくなる制約条件をつける。
作図は投資比率ごとにポートフォリの収益率と分散を計算するようにセルに算式を記入する。その例の一部を示すが、投資比率0の列を記入したら、収益率や分散共分散のセルは固定指定し、列方向(右側方向)に向けて適宜にコピーして表を作成する。
2銘柄が完全に逆相関ρ=(-1)の場合には
以上のグラフをまとめて表示すると
最後に相関係数0.7の場合に空売りが許容されているポートフォリオの効率的フロンティアを考えてみる。
wa+ wb =1 の制約条件内で各投資比率が負となることが認められるケースとなる。
空売りが許容されている場合には、赤線の部分と緑線の部分がフロンティアとして追加されている。赤線の部分はハイリスク・ハイリターンの組合せになるが効率的フロンティの範囲が大きく拡張されていることが見て取れる。
無制限の空売りを認めると非現実的なポートフォリオが作れてしまうのでLintnerは空売りについて独自の定義を行い、空売りした場合には、その売却代金は投資には使えず担保として預託するものとし、投資比率の絶対値の合計が1となる制約条件を課して空売り許容のポートフォリオの分析をしている。ここの例で言えば
|wa|+|wb|=1 という条件を課すことになるが、詳細はJohn Lintner 1965 The Valuation of Risk Assets and
the Selection of Risky Investments in Stock Portfolios and Capital Budgets ,The
Review of Economics and Statistics, Vol. 47, No. 1 (Feb., 1965)の論文などを参照されたい。